2016年8月 Paaralang ③

8月2日火曜日

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奨学生のダニエルが来ている。ハイスクールの4年生。クラスは月曜と土曜だけなので、ほかの日は、エラプ校とパヤタス校のアシスタント・ティーチャーをしている。ダニエルと弟たちはおばさんの家で暮らしている。両親は別の家庭をもっていて、一緒に暮らしていない。
奨学生たちはみんな、とてもまじめで、きれいな顔をしている。何かとても美しいものに触れたという感じがして、しあわせな気持になる。

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イエンは地球儀を見せて、フィリピンと日本を教えている。日本から学生たちが来るので、挨拶の練習。

グレースが、エクセルで給食の経理をまとめていた。一週間ごとだって。たくさんのレシート。スーパーではなくて市場や行商の人から買うときはレシートがないから、たくさんの手書きのメモ。水代ガス代も。これは煩雑だ。一週間でパヤタス、エラプ両校で5000ペソ余り(15000円ほど)。支援してくれているスイスのグループに提出するため。イエン先生は給食の写真を毎食ごとに写真に撮っている。ごはんと肉と野菜。おかわりもできる。給食調理しているテリーさんとグローリィ先生。

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学校の運営経費は私たちの送金から出しているが、経理のレポートは遅れてもいいかな、とジェイは言った。自分の仕事も忙しいし、現場ではグレースが給食のレシートに埋もれている。私たちのほうは、半年あとでもいいよ。お金がどう使われているかは、ここに来ればわかる。送金額は増えていないのだから、先生たちの給料も増えていないのだ。それでも働きたいと思ってくれる先生たちがいるのが素晴らしいし、奨学生たちもすばらしい。ほんとに少ない予算で、とても上手にやりくりしている。

ここは朗らかだ。いろんなことがあるんだけど。生きることは朗らかであるということなんだと、ここに来ると思う。そしてそれは、何かとても力強いことだ。

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扇風機の羽を買ってきたラリ―さんが、教室の天井の壊れた扇風機の修理を、汗だくになってしていた。見上げていて、天井の一部が、剥がれかけているのに気づいた。台風で壊れたエラプ校の屋根は、去年クラウドファンディングで資金を集めて修理した。こっちも修理したかったんだけど、お金が足りなかった。

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レティ先生に聞くと、テラスの屋根は、オーストラリアから来た訪問者の寄付で修理した。残りの天井と屋根を全部なおすとすると20万ペソかかるって言う。
聞こえなかったことにする。

扇風機の部品が落ちてきて、びっくりして泣き出した子をダニエルがあやしている。
ようやく扇風機がまわりはじめるが、ちょくちょく停電。
「建物もぼくも、古いからなあ」とラリーさん。

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帰国後、「幸せなら手をたたこう」という歌についてのドラマを、録画していたのを見た。戦後14年後にフィリピンを訪れた青年が、ボランティアのために訪れた土地で、「ハポン、パタイ(日本人死ね)」と声をかけられる。住民が教会に詰め込まれて、焼き殺された、というような話は何度か聞いたけど、100万人の犠牲者というのは、途方もない。「幸せなら手をたたこう」が、その青年が、家族を日本軍に殺されたフィリピンの青年や子どもたちと出会ったことから、生まれた歌だということははじめて知った。それから世界中に広まった。

そういえば、支援をはじめた21年前。戦争のときフィリピンに行ったという元兵士のおじいさんから、30万円の寄付をもらった。学校が潰れそうなときだったので、あのときの寄付はほんとうに助かった。あのころは30万円あれば4ヶ月は学校を続けることができた。その4か月の間に、次の手立てを考えることができた。

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「幸せなら手わたたこう」の歌、パアラランでも元気に歌っている。

Kung ikaw ay masaya, tumawa ka! Hahahaha(幸せなら笑おう) Kung ikaw ay masaya, buhay mo ay sisigla(幸せなら態度で示そうよ) Kung ikaw ay masaya, tumawa ka! Hahahaha(幸せなら笑おう)


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