ある朝突然、Xのアカウントが消えていた。それから使っていたメールアドレスが使えなくなっていることにも気づいた。
何が起こっているのか、なぜなのか、理解できない。復旧試みたが、ならず。それならそれでいい、というわけにも行かず。
いろんなところの本人確認をやっていたメールだし、Xでだけつながっているひともいるし、きっと私は困るだろう。
さしあたり、新しいメールをつくり、いくつか急ぎのやりとりが予定されているところには連絡したんだけど。何か忘れているかもしれないし、何を忘れているかもわからない。誰彼を見失ったと思うけど、誰を見失ったかもわからない。
いつだったか、スマホひとつなくしたばっかりに、帰る家がわからなくなってる、という夢を見たことを、思い出した。
蝦名さんとのやりとりはメールだった。短歌も詩も、全部その使えなくなったメールのなかにあった。本をつくったので、見落としがあってはいけないと思い(だって、短歌なんてたった一行だ)、10年分すべてを、コピペして移していたのだけれど、
移しておいてよかった。
それでもパソコンのなかだから、去年、パソコンが調子悪くなったときは、ちょっとぞっとした。蝦名さんの詩歌は無事だけど、私、自分の短歌が数年分、気づかないうちに消えていると気づいた。まあいいんだけど。どこかに残るものは残ってるし。アナログ保管大事。
26日。蝦名さんの命日でした。
4年。その間に、蝦名さんの本三冊、出せた。
両吟歌集『クアドラプル プレイ』(書肆侃侃房2021)
歌集『ニューヨークの唇』(書肆侃侃房2023)
詩集『王国を見にいくと言い残して』(書肆侃侃房2025)
蝦名さんの詩歌の仕事、ほぼ残せた。それがとてもうれしい。
気がかりだったのが、全28巻(各60首)の短歌両吟。「クアドラプル プレイ」に収めた4巻以外の、24巻。小冊子を作ってはきたけど、残部がもうないので、
noteに公開することにしました。
両吟で使った歌は、両吟のまま残したい、というのが、蝦名さんの考えで、よほどでなければ、自分の歌集に入れなかったので、つまり、蝦名さんのすばらしい歌たちは、まだたくさん両吟のなかに残されたまま。
私家版の冊子を買ってくださった方もいるので、一応有料記事ですが、 無料記事も無料部分もわりとあるので、見てみて。
歌集は自分で買って読むものだと、蝦名さん言っていて、それは、詩は、自分の手足と心をつかって探すもので、詩を探すことが、詩の行為なのだと、言いたかったと思うんだけれど。
私が提出できる蝦名さんの詩と短歌は、これで全部です。
NHK短歌7月号に、蝦名さんの短歌が紹介されていた。
亡き鳥が飛び残したる空仰ぎ初心の離陸なしがたきかな(蝦名泰洋)
私の初心て何だったかな。初心があったとも思えないんだけど、蝦名さんの詩歌を、本にして、離陸させられたことは、よかった。
夏。天井裏の通気口に蜂が巣をつくっているとか、大きな蛇が庭にいたとか、ムカデが出たとか。向かいの森でひぐらしが鳴く。
両吟は、野樹の歌で終わっている。2020年の夏。ひぐらしが鳴いてた。
たからものを埋めた(ビー玉かもしれない)ひぐらしが鳴く緑の闇に(かずみ)
