帰省 ➄ 釣り

14日午後、闘牛のあと、海で釣り。
上の叔父がすっかり用意してくれる。去年も、闘牛のあと、釣りをした。去年は父も兄もうちのパパもいたが、今年はパパは帰省できなかったし、父は暑いからいやだというし、兄は仕事なので、叔父と私と息子の3人。でもよく釣れた。ゼンゴ(小あじ)がたくさん。それから稚鯛が、ひとり1匹ずつ、3匹。息子、なかなか釣れなくてすねていたが、釣れたらたちまち機嫌がなおった。私は自分の釣りに忙しいので、息子の機嫌なんかかまってない。でも鯛を釣ったときは、写真撮ってやりましたが。
小さすぎる魚は、海へ捨てる、するとたちまち鳥が来てさらってゆく。あんな小さいものをよく見つけるなあ。

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仕事を終えた兄が来て、私たちと父とを温泉に連れていってくれる。「雨が降らなくてよかったなあ」と父が言うと、「なん、雨でも釣るわい」と兄。叔父は何にも言わないが、段取りして待っていたのだ。
いつも、釣って冷凍していた魚を山ほど持たせてくれる。私たちにもたせるために、釣ってさばいたのを、すでに冷凍庫いっぱいに、用意している。自分の家の冷凍庫に入りきらないので、父の家の冷凍庫もいっぱいにしている。今回は車でなくてもって帰れないので、兄があとで送ってくれるという。
1時間後、温泉から帰るころには、さっき釣ったゼンゴと稚鯛が、皿いっぱいの刺身になっている。私がさばくと、時間はかかるわ、もとの形をとどめてないわ、なのだが、叔父は仕事がはやい。父の家でごはんにのせて食べる。おいしくて泣ける。

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子どもの頃から、魚は叔父が釣ってきて、母がそれを鍋で煮る。似てうまい魚もそうでない魚もまとめて煮る。テーブルの上に鍋がどんとのって、そこから好きに取り出して食べるのだが、あたりがきたり、はずれがきたり、したなあ。


押入れに、私のものがすこし残っている。通知表があると言ったら、息子が見たがるので、見せたら、ひとつひとつ数字をよみあげる。1から10まで全部あるよ。「これ、成績さがっているのはどうしたの? 怠けたの?」などと聞く。さあねえ。目立たない大人しい生徒だった、はずですよ。

広島にいると気づかないのだが、最近よくしゃべるようになった息子の言葉づかい、ここにいると、きつく聞こえる。「早口はおまえに似てるが、広島の子やなあ」と兄が言う。とはいえ、広島弁を使っているわけではないのだ。「どうして広島弁でしゃべらないのかと、同級生にいじめられたこともあるよ」と息子が言う。それは初耳。
私が、高校を出て広島に来たとき、広島の人の言葉はとても怖く聞こえたことを思い出すが、何がどうこわかったか、もうわからない。ここにいると、息子の言葉は、きつく聞こえるが、しょうがないな。
違う風土のなかで、違うリズムで、この子はすでに11年生きたのだ。すでにひとつの違和、ひとつの孤独である。