詩獣たち──

4日は河津聖恵さんの出版記念の会だった。

この本。
http://www.amazon.co.jp/%E9%97%87%E3%82%88%E3%82%8A%E9%BB%92%E3%81%84%E5%85%89%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%9F%E3%82%92-%E3%80%94%E5%8D%81%E4%BA%94%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%A9%A9%E7%8D%A3%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%80%95-%E6%B2%B3%E6%B4%A5-%E8%81%96%E6%81%B5/dp/4865780106

詩の朗読と、チェロとピアノの伴奏が、贅沢だった。

ショパンの悲しみの川。歌曲だけど、これはピアノだけ。
https://www.youtube.com/watch?v=XtEJYvnVIxc

尹東柱の「たやすく書かれた詩」の朗読の伴奏で、任キョンアさんがチェロで弾いていた曲。李英哲さんの朗読もよかったのだ。チェロの音が、詩のなかの雨だれの音に聞こえた。音のなかに詩の風景と詩人の姿が見えた。

  ……
  六畳部屋はよその国
  窓の外では夜の雨がささやいているが、
  
  灯りを点して 暗闇をわずかばかり追いやり、
  やがて時代のように訪れる朝を待つ 最後の僕、

  僕は僕へと 小さな手をさしのべ
  涙と慰みに握る 最初の握手   (李英哲訳)

参加者の発言、ひとりひとりの背景も多様で、みんな言いたいこと言っていたのでしたが、異なるものをありのまま自由に存在させる、朗らかさ、について考えた。
詩は、そのような朗らかさとともにあるもののような気がした。

たぶん、藤原書店というあの場所で、石牟礼道子さんや多田富雄さんの本が並んでいるなかで、チェロとピアノ伴奏の詩の朗読なんかを聞いたせいだけど、「能」について考えた。
梅原猛が、能のことを日本の宗教劇と言っていたけど、そのようなものはいまも切実に必要ではないだろうか。
石牟礼さんの新作能をこないだ読んだせいもあるんだけど、それは「天草四郎」だったけど、それが原民喜尹東柱であってもいいなあと、ふと夢想する。

と考えると、能にもつながっていきそうな、不思議な詩人論なのだった。あの難しい詩人論を、能のシナリオで読みたいような気がしてきた。
詩人が書いた詩人論が藤原書店から出版されたことを、納得した。

「闇より黒い光のうたを」に出てきた詩獣たちの詩劇、を見てみたいなあ。




石川逸子さんとお会いできたのがうれしかった。先日亡くなった御庄博実さんのお話を聞いた。詩を書いて逮捕されたときのこと、飛行機虫のこと。など。