いつまでも美しく

「いつまでも美しく」というタイトルの本。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%84%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%82%82%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%8F-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%81%AE-%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%81%AB%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%B3%E3%81%A8-%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%B3-%E3%83%96%E3%83%BC/dp/4152094303
インド、ムンバイのスラムについて。この本すごくいい。
「いつまでも美しく」という言葉は、空港通りとスラムの境にあるコンクリートの壁に書かれたタイルの宣伝のコピーなのだが、
スラムには、こんな環境のなかでも高潔に生きたいと思う子どもたちがいる。
でもそう思う子ども時代に終わりがくる。壁も壊されてゆく。
小さなストーリーのひとつひとつに意味があり、とても大切で愛おしい。 
……読みながら、パヤタスの風景や、そこで出会った子どもたちのことを、私は思い出したりした。

 FBのジュリアンの書き込みが気になった。タガログ語で読めないんだけど、ありがとう、さようなら、息子、ぐらいはわかる。
確認したら、やっぱり、息子が亡くなったのだった。まつげのすばらしく長い男の子で、去年の夏にも会ったんだけど。
ジュリアンたちも、カイルくんも、とてもよくがんばったと思う。

去年の夏に会ったときの記事。

☆☆

 休みの日、マリアペレと一緒に、ジュリアンの家に赤ちゃんを見に行った。行くと2階に案内された。え、2階?
 2階は家族の寝室でベッドがひとつあり、床もマットレスとシーツが敷いてあり、カイル君(4歳)が寝ている。天井からは赤ちゃんのハンモックが吊るされている。赤ちゃんは女の子でサヴィエンヌという名前。2か月。よく泣いて丸々太って元気そう。
 カイルは生まれながらの障害で寝たきりで育っている。また2か月ほど入院して、喉と胃に穴をあけた。痰を吸引する機械が枕元に置かれている。吸引はひっきりなし。夜中も。食事は、胃の穴から水とミルクを与えている。去年より体は大きくなった。手をにぎると握り返す。
 私たちは寝室に寝転んでおしゃべりする。毎月、病院にカイルを連れていく。機械のバッテリーの交換もある。
 ジュリアンたちを大学に行かせることができてよかったと思った。いい仕事が見つかってよかった。カイルを病院に連れていくことができる。息子に語りかけるジュリアンの声がやさしい。家族の写真はしあわせそうに見える。カイル君、妹も来たし、もうしばらくこのやさしい家族と一緒に過ごせるといいね。
 休日のジュリアン、つくりかけのベランダで廃材をのこぎりで切りはじめた。もしかして、この家の2階はジュリアンが自分で作ったの?
 「イエース」と当然のように言うのだが、見事だ。こうやって伝統的なスラムの家はできていくのだと思った。立派なお父さんだ。2階までつくっちゃうんだ。

☆☆

こないだ「パアララン・パンタオ物語」の2巻に書いたばっかり……。
カイル君が生まれてまもないときに、「とても小さい子だよ」と言ったジュリアンの声がまだ耳にある。何回も抱っこさせてくれてキスさせてくれて、ありがとうね。

これから、パアラランのニュースレターつくります。