「しまのないトラ」

「しまのないトラ」という子ども向けの本。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84%E3%83%88%E3%83%A9-%E5%81%95%E6%88%90%E7%A4%BE%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%97%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88-%E6%96%89%E8%97%A4-%E6%B4%8B/dp/4035010103

「もし、あなたが、ともだちやなかまとちょっとちがうところがあって、そのことでこまっているなら、この五つの話をよんでください。また、もし、ともだちやなかまとちがうところがあなたのじまんなら、やっぱりこの五つの話をよんでください。」という本。

いただいた本なのですが、子ども一度読んで、それから寝る前の読み聞かせでもう一度私に読ませていた。
しまのないトラは、茂みにうまく隠れることができなくて、エサをつかまえられない。で、バナナしか食べられなくておなかをすかしているし、みんなにばかにされるし、いじけてるのですが、ある日、ワシにエサをめぐんでもらったのがショックで、その日から猛然と走る練習をはじめた。そうして足が速くなったしまのないトラは、茂みに隠れなくてもエサを捕まえられるようになったし、危機のときにもいきのびられた、という話なんですが、子ども、トラが走るところに深く共感していた。

この子ども、走るのである。毎日、下校のバスを降りた瞬間から、ほかの子どもたちにからまれないように猛ダッシュで走って帰る。
「いじめられていじめかえしたり、悪口言われて言い返したりしたら、にくしみやいかりが2倍にも3倍にもなるから、ぼくはしない。そのかわりに、ぼくは走って逃げるんだ」という平和主義者は、しまのないトラに、励ましてもらったんだな。うれしそうだった。



さて、今日の夕方、私が畑にいるときに、担任の先生から電話がかかってきたらしい。パパが出た。子どもが、隣の席と後の席の女の子ふたりにいじめられていたので、女の子たちを叱りました、ということだった。気をつけておきますが、何かあったらすぐに言ってくださいって、先生言ってくれたらしい。
相談しようかと思っていた矢先だったので、手間が省けたんだけど、何されたのって、子どもに聞いたら、えんぴつの先でつつかれて、「キモい」とか「死ね」とか言われたんだって。

その女の子たちさ、「私はばかで、いじわるで、いい人間にならないし、しあわせな大人にもなれない」って言ってるのと同じだよ。そのままだと女の子たちがかわいそうだから、きみはいじめられたらすぐに、先生に言わなきゃいけない。言える?

……むずかしそうである。だいたいクラスメートの名前を口にするのがむずかしい。家でも決して名前は言わない。「恥ずかしくて言えない、無理だ」という「恥ずかしい」とはいったいどういう感情なのだろう。

問い詰めると、出席番号は言うのだが、名簿をなくしたので、番号から人物を推定するのが難儀だ。13番だとたぶんサ行あたりか、と見当つけて、聞いてみる、あたっているとうなずく、はずれているとくびをふる。隣は18番、後ろは13番。まったくうっとうしいジョーカーのおばさんたちだ。

じゃあ、書くのはできる? できるね。だれかにいじめられたら、がまんしないですぐに、連絡帳に書く。すぐに知らせてくださいって先生が言うから、そうするんだよ。

とりあえず私が連絡帳に書く。先生、2年生の名簿をください。