解雇

されたらしい。造船で働いていたらしいんだが。

朝、弟から電話。「姉さん」という「ね」の声で、もう用件はわかってしまった。食えんのだな。

「姉さんには頼るまいと思って、我慢してたけど、にっちもさっちもいかん」
米は送ってあげる。
「いくらでもええんやけど、煙草銭もあったら」
ああ、それは期待するな。でもうしろめたそうに笑うな。

いつのまにか、何人かまとめて解雇されたらしい。社宅も出なければならないが、家賃も先月から払えてないが、次の行き先もないのだ。ハローワークには行っているが、なかなか仕事はない。一件紹介してもらったところは、盆あけにならないとわからない。
去年、兄と喧嘩してから、家族とは連絡とっていない。

来週帰省するから、告げ口しといてやろう。

かわいそうに、おまえの身内で、沈む船をもちあげてくれるクレーン船のできそうな奴はいないから、腐らずに、腐る前に、ハローワークに通いなね。

「義兄さんに、ごめん言っといてな。金できたら返すからな」
金はないって。米は返さんでいい。

さて、どうするか。
とりあえず、米と缶詰詰めるべ。