未来は明るい

日曜日。ピアノの発表会があって、息子が弾いたのは「エリーゼのために」と「ダウンタウン・ビート」というジャズの曲。
アドバイザーの先生たちから、まあまあよい評価をもらって、息子はうれしそうだったが、ひとりの先生が「未来は明るい」というコメントを書いてくれていたのが、なんか、おかしかった。

それで、「未来は明るい。応援するよ」っていうコメントをピアニストの先生からもらった息子だが、ピアニストに何を応援してもらうんだろう、っていう感じでぽかんとしてるのが、またおかしい。ぼくはピアニストにはならないよ?

いいんだよ。どんな勘違いでも、だれかに「未来は明るい」って言わせたのはたいしたことだよ。

で、約束だったわけよ。よくできたら回る寿司。
連れて行ったら、1時間半待ち。そんなに待って食べたいものでもないが、息子は待つって言う。
親たちは早朝から町内会の大掃除あったし、くたびれてるんだけど、まあね、約束だからね。私ごはんつくりたくないし。
で、お寿司食べて帰りましたと。

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夕方、虹がかかってた。車の窓から見えた。
「未来は明るい」。思い出す度におかしい。
気に入った。その嘘、信じてみよう。



前夜は修羅場だったんだ。今でこそ、学校があるから、昼起きて夜寝ている息子だが、赤ちゃんの頃から幼稚園に入るまでの4年間は、夜寝ない子で、彼を寝かせるというのは毎晩至難のことだった。最近息子と同い年の、同じ自閉症スペクトラムのAくんが睡眠障害になってしまったのは、ほとんど他人事と思えないでいたところに、息子が夜中にこっそり起きて漫画読んだりしてるのをパパが見つけたもんだから、まあ、怒るわね。

親たちも同じ穴のムジナで、パパも睡眠障害だし。でも夜子どもを眠らせる、というたったそれだけのために、親たちがどれだけ毎日神経使っているか。

息子が小さい頃、ほんとに夜寝なくて困ったことを、ありありと思い出した。絵本の読み聞かせも興奮するから逆効果だし、かといって中断するとパニックだったし。

「ぎりぎりなんだからな。ぎりぎりで生きて暮らしているんだからな。おまえが夜、寝ないのは裏切り行為だ」とパパに叱りとばされた息子、泣きながら眠って、泣きはらした顔で起きてきたんだった。



「未来は明るい」ってコメントに、なんか、私が励まされた。