2016年8月 Paaralang ④

8月3日水曜日。

Cimg4996


朝、学校の前を野菜の行商のおばさんが通る。グローリィ先生が給食のスープの野菜を買いに出る。
それから、学校の前の道を、カンデラリアのお母さんが通る。はじめて来たときから知っているからもう22年来の知り合い。小さかった子どもたちは大きくなって、いまは孫たちがいる。子どもたち元気?孫は何人になったの?って聞いたら、こないだ孫が死んじゃったんだって言う。7人いたのが6人になった。リチャードという男の子が6歳で死んだ。ハート、って言ったから心臓かな。20年前、彼女にはたくさん子どもがいたんだけど、末の2人、2歳の女の子と生まれて数か月の男の子がつづけて死んだことがあった。女の子は心臓が悪かった。そんなことを思い出した。

Cimg5017



秋田から、国際教養大学のV-ACTのメンバー11人がやってくる。




Cimg5027




本当は前日のはずだったが、フライトキャンセルで1日遅れ。ゴミ山の見学は、事前の許可がないと駄目で、許可があれば、トラックの荷台を改装したバスに乗って、ゴミ山の全景を眺めることができる。許可をもらう手続きは面倒で、この時期は雨季で行けないことも多い。
それで、レティ先生が、グローリィ先生が近くを案内するように言ってくれる。グローリィ先生は地元の人なので、よくわかっている。私も一人では行かせてもらえないので便乗する。以前、パアララン・パンタオの旧校舎があったあたりまで、道を降りていった。ゴミが散乱していて、道のはしを流れる水で、拾ったビニール袋を洗っていて、ジャンクショップが並んでいる。

Cimg5019_2

Cimg5022









ゴミの山は大きくて、草も茂っていて、はじめて見る人は、本物の山だと思う。20年前は平地だった。その前は谷だった。

パアラランがあったところは、もうゴミの中に埋もれていて、草が茂っている。その傍らをトラックの通る道ができている。
20年前のこのあたりの様子を説明していると、「生まれる前ですね」って学生が言う。そのころ、この山の下に、集落があった。

Cimg5026


「私の家もここにあったのよ」とグローリィ先生。彼女の末っ子の男の子は、ここにあったころのパアラランの生徒だった。その子は今年カレッジに入学して、トヨタから奨学金をもらっている。
学費がかからないので、とても助かるって言う。私の人生は成功しなかったし、お金はないし、って言うから、きっと息子が成功するよ、って言ったら嬉しそうだった。
「いまのパアラランと、前のパアラランと、どっちが大きい?」とグローリィ。同じくらい、と私。間取りも同じ。お金がないのもね、と言ったら、笑った。

Cimg5063

 



学生たち、午後のクラスを担当してくれる。手作りの石鹸をもってきてくれていて、お絵かきのあとは、手洗いの学習。「サボーン(石鹸)! サボーン!」と楽しそうだった。先生たちが、バケツとたらいを用意してくれた。帰りにひとつずつ石鹸のお土産。
あの石鹸、使ったらなかから消しゴムが出てくるらしいんだけど、みんなもう気づいたかな。楽しい午後だった。

Cimg5061



ジプニー乗り場に送っていって、学生たち乗り込んだ直後に雨。グローリィ先生とあっちこっちの店先で雨宿りしながら帰ったけど、グローリィ、走るの、はやっ。



Cimg5086

Cimg5091