子どもの貧困と就学前教育

子どもの貧困、がテーマだったのかな。NHKの特集の終わりのほうをすこしだけ見た。貧困の連鎖を断ち切るために、就学前教育が大切だという話だった。

ペリーの就学前計画の話、検索したので、貼っておく。https://cfc.or.jp/archives/column/2016/07/11/10863/

ペリーのことは知らなかっただろうが、幼児教育の大切さを繰り返し語ったのは、パアラランのレティ先生だった。
ゴミ山のふもとの、あのおそろしい貧困地帯で、学校をつづけるなかで、経験的にわかっていったのだと思う。5歳の頃なら1年でおぼえられることが、10歳や15歳になると、何年もかかる、ということ。
当初、学校に行けない子どものために、小学校程度の教育を与えること、優秀な子が高校編入の試験を受けられるようになることが、学校の目標だったが、幼児教育にも力を入れるようになり、
2000年代になって、高校進学のために小学校の在籍証明が必要になると、全面的に、小学校入学のための、幼児教育に取り組むようになった。
4歳、5歳になったら、子どもをパアラランに通わせるように、啓蒙しつづけてきたし、
子どもたちのために、何がいちばん必要なことなのか、確信があったのだと思う。

パアラランは、予算もないなか、不思議なほど質の高い幼児教育を提供している。先生たちのノートには、細かな字で、1年間の教育内容がびっしり書き込まれているし、いろんな工夫がある。
数日でも教室で過ごすと、この子たちが小学校に入学したあと、よい成績をおさめること、だからドロップアウトすることなく卒業できるだろう、うまく行けば進学もできるだろうということが、とても納得できる。

実際、パアラランで学んだ子どもたちが、進学して、とても気持ちのいい若者になって、就職して、家族をもって、休みの日に子どもたちと出かけたりする、そういう光景を、私は見てきたことに、あらためて気づく。それは得難い光景なのだ。

本当に、運命が変わる。

今年も、今月から新学期がはじまるし、5月の終わりには、先生たちと奨学生たちの一泊研修があった。
資金がないので、先生たちも、ほかで働けば、もうすこしはましな給料がもらえるのに、ほんとに切ないような薄給なんだけれど、使命を感じて、ここにいてくれるとわかる。

パアラランを支援してくださる方たちが、パアラランが成し遂げていることについて、数千人もの子どもたちの運命を変えてきたことについて、誇りと喜びを分かち合ってくださるとうれしいと思う。そういうことを、私はしっかり伝えられるようにならないといけないな。

ありがとうございます。

詩を書く友人が、エッセイ集を送ってくれた。業界紙にコラムを書いていて、それをまとめたもの。これから楽しみに読むんだけど。

『旅ゆくヒトガタ』(田中健太郎著  響文社)という本。

3年前に出版された『パアララン・パンタオ物語』のことにもページを取ってくれていて、感謝です。そのなかに、次の文章を引用してくれているんだけど、

「子どもたち、いっしょに歩いてくれたり、手をつないでくれたりして、その頼りない手が、どうしてそんなに深くやさしいのか、心強いのか、いつも不思議だ。パアララン・パンタオの支援を続けてきた十数年、私はずっと、ここの子どもたちに甘えさせてもらってきたと思う」

そこが目にとまったとき、出会ってきた子どもたちの気配が、ふいに皮膚にもどってくるようで、目の奥がつんとした。自分の書いた文章ながら。子どもたちと過ごしたあれこれの光景が思い出されて。

パアラランはまた、新学期はじまるし、新しい子どもたち来るし、私も、私のできることをしなきゃ。
ちょっとしっかりしなさいね、私。

パアラランのHP http://www.fureai-ch.ne.jp/payatas/

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