2006-01-05から1日間の記事一覧

もうひとりの私

父母の眠った夜更けに、ときどき足音をしのばせて表に出たものだった。中学生や高校生だった頃。裏山の木々が、風にざわざわ鳴るのを聴き、道端に寝転んで、星を見た。夏は向かいの田んぼの蛙が鳴いていた。月明かりに、電線が五線譜のように浮かぶのを、ド…