「病める庭園」 丸山薫 静かな午(ひる)さがりの縁さきに 父は肥つて風船玉のやうに籐椅子にのつかり 母は半ば老いて その傍に毛糸を編む いま春のぎやうぎやうしも来て啼(な)かない この富裕に病んだ懶(ものう)い風景を 誰れがさつきから泣かしてゐるのだ オ…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。