叱られて


 ビデオデッキにさわってはいけないと何度言っても子どもは懲りない。昨日もまたさわっていたのだが、ちょっとやっかいだったのは、ビデオを入れるところに、あろうことか、玩具の小さい車を入れてしまって出せなくなってしまったことである。ブッブーの新しい駐車場を見つけたつもりなんだろうか。
 不運なことに、そこにお腹をすかせて余裕のないパパが帰ってきて、叱り飛ばされることとなった。子どもは大泣き。
 叱られても、子どもはごめんなさいを言わない。ひたすらに泣く。「ごめんなさいは?」と言うとさらに泣く。で、大泣きのあとはけろっとして、パパにまとわりついているのだ。
 なかにはいりこんだ車(長い間行方不明だった玩具だ)は、箸でようやくつまみ出した。

   布団に入ってからが面白い。もういいかげん目もあけていられなくなってから「アンパーンチ」と言いながら、自分の頬をパンチする。それから「バイバイキーン」と手を振る。それを何度か繰り返してから寝た。そういえば、何日か前に叱られたときは、やっぱり寝る前に「ごめん、いーよー」を何度も言っていた。自己総括というか、寝る前の反省会というか。なんだかけなげである。

 「アンパーンチ」「バイバイキーン」のあとに、「ママ、しゅき」と言った。しゅき、は、はじめて。ママもパパもきみがだいしゅきさ。