紙飛行機

   子供
 
海がすっぽりはいる絵で
一羽の白い鶴を折る
 
      北島(ペイタオ)の詩「太陽の都ノート」から
 
 子どもがマクドナルドのレシートを拾ってきて、「M」という。レシートにMのマークがあるのだ。つづけて「かみひこうき」という。小さなレシートで紙飛行機を折る。子どもが次々もってくる紙くずで、紙飛行機を折る。さっぱり飛ばないが、それでもいいらしいのだ。メモの切れ端やレシートの小さな紙飛行機を、数分後には忘れられると知りつつ、折っている。私の日常は、そんなふう。
 
 いくつもの小さなこだわりが、子どもにはある。電気を消すときには「おとうさん、あした芽でるかな」「トトロなら知ってるんだろうけどな」と、トトロの台詞を言ったあとに「おやすみー」を言うとか、散歩のときの道の歩きかたとか、炊飯器のスイッチを入れるのは自分の係りであるとか。面倒だからとやらせなかったり、近道させたりすると、泣かれて結局最初からやりなおしになって、かえって時間がかかる。子どものこだわりはなんだか小さな儀式のようで、合理性よりも尊重しなければならない何かは、たしかにあるなあ、と思う。