相談室

 しばらく前に保健士さんがやってきて、保険センターの相談室に来ませんかというので、断る理由もなく、何を相談しに行くのだろうと思いつつ、指定された日時の昨日の午後、行ってみると「ことばとこころの相談室」と入り口に書いてあった。
 そうえば2歳になったばかりの頃、指さしもしないし、しゃべらないしするので、「ことばのゆっくりな子どもたちのための親子教室」に何度か通ったので、その後の経過を気にかけてもくれたのだろう。
 その子もいまや1日じゅうしゃべっているし、ひらがなかたかな数字アルファベット読むし、最近は注意書きが気になるらしく、「ご注意」「危険」「警告」の文字に興奮する。「危険」のあとに「!」(子どもはこれをピチーッ、と読む)があればなおいい。ただ、しゃべったり読んだりはするけれど、耳にした言葉を繰り返したり覚えてしまったりもはやいんだけど、会話というものをしているかどうかは、気にしようと思えば気にならないこともない。
 ご飯をすわって食べないのも、自分でスプーンを持とうとしないのも、かたくなにアンパンマントイレがいや(またがって遊ぶのはいいが、そこでするのはいや)で、おむつのなかにしかしないのも、もしかしたら気にしなければいけないことなのかもしれない。
 
 それで相談室、入ると、保健士さんが子どもに積み木をつんでごらんとか、絵をみせてどっちの○が大きい、とか、お絵かきしようか、とか誘うんだけれど、部屋の隅におもちゃ箱があるのを発見した子どもはそれどころでなく、積み木を積むぐらいはしたけど、保健士さんの相手をする気は全然なくて、すきを見ておもちゃ箱のほうに突進していってしまった。
 「すこしかたくなで、人の話を聞くとか、場にあわせるとかが難しいかな」と言われ、そりゃまあ、この母の子で、この父の子ですから、筋金入りでしょうよと思い、きみもそれなりに生きるのは苦労するんだろうな。私としては、「食事やトイレのことも、しつけの問題ではなくて個性の問題だと思いますよ」と言ってもらったので十分、舅姑さんに言い訳がたてばいいんです。
 また幼稚園を探すような時期になったら、療育センターに相談に行くのもいいと思いますよ、ということで、話は終わりだったが、子どもはおもちゃから離れたがらず、「おかたづけ、いや」と泣く。
 それでもとっとと片付けていくと、今度は、お絵かきしようと声をかけられて、真似してかくようにいわれたのが気に入らなくて書かなかったお絵かき張に、いまさら、まるを書いて見せたりしている。
 「ばいばい」だけはちゃんと言った。
 
 子どもが帰りたがらないので、デパートのすべり台まで遊びに行く。夕方になって、近くのスーパーで買い物をしてたら、近所のおばあさんがいたので、車で送っていく。おばあさんは脳梗塞で半身麻痺になったご主人の介護をしている。今日は小学校のときの同窓会だったと嬉しそうだった。坂が大変なので、買い物の帰りはタクシーを呼ぶのだそうで、助かったと言ってくれる。ちびさん、きみがぐずって、すぐに帰らなかったおかげだね。