「あらまあ、あなたはおうちがないの。なんてかわいそうなんでしょう」
「またうそをついたのか。もうだまされないぞ」
「そのとたん、かあさんがえるのおなかはパーン、はれつしてしまいました」
「おたすけください。どうかぼくをたべないで」
というようなことを突然言われると、どきっとする。子どもがおぼえているお話の文章を、突然叫んだりするのだった。
庭に出ると、たちまちトトロのめいちゃんになりきって、「くすのき、くすのき」と叫びながら走っている。
並べて脱いでいたはずのスリッパが、気がつくと左右逆向きに重ねてある。なんで?と思っていたら、子どもが指さして言った。「しんかんせん」。
ああ、そうでしたか。スリッパしんかんせん、ね。