注射

家の裏、ふだん誰も見ないところなんだけど、季節がくればしっかり咲いている。つわぶきの花。
 
昨日、インフルエンザの予防接種2回目。
ちびさん、前夜は「ちゅうしゃ、いやなの」とぎゃんぎゃん泣いたが、昨日も朝から、「ちゅうしゃ、いやなの」と言い続ける。
「病院のあとは、マックへいって(ハッピーセットの)ケロロ軍曹もらってこよう」とか「帰りにはケーキも買おう」とか、「明るい見通し」を示しつつ、なんとか病院へ連れてった。入口で逃げようとするが、「先生に、こんにちはを言わなきゃ」と言ったら、妙に素直になって、なかにはいったわ。
この時期の小児科はごった返している。午後遅くなると学校帰りの小学生で混雑するので、早目に行ったのだが、小さい子たちがいっぱいで保育園のようだ。ちびさん、おもちゃのとりあいなんかしながら、遊んでいるが、そうしながらも、まだしつこく「ちゅうしゃ、いやなの」と言い続ける。「じゃあ、そのこと先生に言いにいかなきゃ」と言うと、これまた素直に診察室に入って服を脱ぐ。
それで、しっかり先生に向かって「ちゅうしゃ、いやなの」と主張したちびさん。「夜すこし咳が出るんですけど、大丈夫でしょうか」と私もいってみたんだが、「熱もないし、のどもきれいだし、大丈夫でしょう。終わったあと少し様子を見ましょう」ということで、注射取りやめにならず。
ちびさん、注射の準備をしている看護師さんに向かっても「ちゅうしゃ、いやなの」と訴えるが、「そうね」とあいづちはうってもらっても、まったくかわいそうなほど、だれにも訴えを聞いてもらえず、注射の瞬間、ギヤア、と叫ぶ。でも別に泣くでもなく、一声ギヤアと叫んだあとは、ご褒美に折り紙もらって、ご機嫌だった。
注射のあと20分待ち。色素性じんましんという病気を抱えているので(といっても、とくに異常なく経過観察だけですんでいる)毎回注射のあとはしばらく待って、再度診察してもらってから帰るのだが、「もう注射おわり、先生にさよならするだけ」と言ったら、しっかり「先生さよなら」を言っていたわ。
 
前夜あんなに泣いたのは、いったいなんだったんでしょうか。
 
で、約束のマックとケーキ。ああ出費がかさむなあ。
と思いつつ、私も本など買った。須賀敦子全集第3巻。
所収の「ユルスナールの靴」も「時のかけらたち」も「地図のない道」もすでに単行本でもっているんだけれど。
「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」という書き出しの文章は、わすれられない。