長い春休み

気づけば、向かいの森の藤が花盛りで、はやくも初夏の気配。
鳥が鳴いてるし、鹿がやってきたりする。

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新型コロナウィルス対策で、学校の休校は延長になり、新学期の1週間ほど登校しただけで、かれこれ2か月、休み。さらに今月末まで休み。息子、昼ごろまで寝てる。

連休明けから登校の予定だったので、提出の課題がひと山あり、それを持って行かなければならなかった。ほぼほぼ済ませていたが、済んでいなかったのが、国語の課題の付録の、3週間分の学習日記と読書ノート。学習日記、毎日何かしら書いてれば、どうってことないもんを、3週間分の白紙を前にぼうっとしてる。2日分ほどを化学の話を書いたあとはどうしていいかわからないらしい。「何書こうか、春はあけぼの…」とか言うもんだから、それ書けば、と言ったら書いた。ほかに思い出すもんは? 「それなら西行、願はくは桜の下で死にたい、の歌…」というわけで、ひらめいた。そういうもんで、埋めてしまうことにした。手伝った。

「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つていった」っていうの、犬寄峠の菜の花畑で思い出したよ。「羽がふる 春の半島 羽がふる」っていうの、佐田岬に行った時のこと思い出すよ。みたいな話をのんびりしていたが、時間もなかったのだ、提出前夜の深夜。

ネットの検索便利。思いつく切れ端を検索すると、出てきてほしいものは出てくるのだった。芭蕉と蕪村、富沢赤黄男と西東三鬼と芝不器男、寺山修司穂村弘丸山薫宮沢賢治とヘッセ。さしあたり、私が思い出して、息子が気に入ったやつを。


課題は無事提出して、また新たな課題を抱えて帰ってくる。今日からは、授業のネット配信があるらしい。朝からの授業を昼ごろ聞いている。

小学校から不登校で、単位制の高校にすすんだ友だちのことを、息子は思い出す。すでにYくんの生き方があたりまえに思える。そんなふうで、よかったんじゃん。

息子、表情がおだやかになってきた。かなり、だらけてもきた。ときどき虚無虚無プリンになるらしい。おう。虚無虚無プリンなら私も知ってる。そいつに出会ったのは高校2年のときだった。虚無虚無プリンのことを、親と話そうとは思わなかったけど。


息子、ヘッセの「デミアン」を、私が高校生のときに読んでいた本で読んでいる。あちこち引いてある線のことは、知らないふりしとけよ、と思う。

私は、息子が友だちから借りてきてくれた「精霊の守り人」シリーズ読んでいる。楽しい。息子にも私にも、長くしあわせな春休み。ひきこもっていていいなんて。ひきこもっていることが、正しいことであるなんて。

 

さて。とはいいながら、鹿に荒らされた畑の、草刈りしなければ。いちご畑全滅だが、牡丹の花が咲いている。

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