出来事の日付

3年前の春休み、中学生だった息子と九州に旅した。最初の日、くま川鉄道に乗った。田園シンフォニー。線路沿いの菜の花と夕焼けとを覚えている。なんだか、夢のような景色だった。どの路線がどんなふうに傷ついたか壊れたかは、そういうことをくまなく網羅しているっぽい息子のスマホが教えてくれる。破壊はこんなに突然にくるものか。
人吉の地図を見ていて、ようやく思い出した。あの1日、私たちがどこをどう歩いたか、どこで泊まったか。その全てが、浸水していた。……言葉がない。

2年前の7月6日は、西日本豪雨だった。翌日の文化祭が中止だったこと、8月帰省するとき、広島でも愛媛でも、豪雨の傷跡のなかをくぐりぬけるような感じだったことを覚えている。

2年前の7月6日には、オウム真理教の人たちの死刑執行が行われた。突然。
はるかにさかのぼって、7月6日はサラダ記念日でした。80年代半ばくらい? あの頃は、世界がこんなに壊れやすいなんて思わなかった。
同世代の青春の、最初と最後の出来事の日付の気がする。

まだ降るらしい。ひどくならないといいな。

詩誌「みらいらん」6号が届いた。コラム書かせてもらっているので、貼っておきます。ぺったん。75年めの広島で。

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