水の音、ひぐらしの声

雨の音。鹿の足音。外に出ると、雨の音に交じって、向かいの森から鹿の足音が聞こえたりする。

雨、どれくらい降りつづいているんだろう。

息子、先週は、4日連続、大雨警報のなかを学校へ行く、と言いながら出て行ったっけが。今週はどうでしょう。

毎日、一日中雨が降り続いている気がしていて、外に出ると、たまに雨があがっていて驚いたり、していた。それでも雨の音と聞いてしまうのは、向かいの森から溝にながれてくる水音のせいだ。
向かいの森には、廃屋と、池のある庭があり、30年前までは、人間嫌いのおじいさんが住んでいた、らしい。10年ほど前までは、おじいさんの息子という人が、たまに木の枝を払いに来たりしていたけれど、もう誰も来ない、鹿といのししの遊び場になってるけど、その向かいの森の池はいつも枯れているのに、今は水がいっぱい、池のほとりに、「考える人」の彫像がある。
誰も訪れない、近所の子どもたちさえ、足を踏み入れない、荒れた庭に、「考える人」がいる。不思議な廃園。

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20年前の7月10日に、フィリピン、パヤタスのゴミ山が崩落して、麓の集落が埋められた事故があった。一週間雨が降り続いたあとの惨事。死者は200人余り。行方不明者は数百とも。子どもたちの犠牲が多かった。事故のあと、寄付を集めて、2週間現地に滞在して、忘れられない出来事なんだけど。

今年はもう、フィリピンに行けない。訪問するのは、いつも日本の夏休みの時期、向こうは雨季のころだったから、1週間の滞在中、ずっと雨ということもあったし、台風で床上浸水ということもあったし、マニラが大丈夫でも、ほかの土地で、土砂崩れがあったり街が浸水したり、犠牲者が出たりを、ニュースで見ないときがなかった。

たぶん、この数年、日本の雨の降り方が、似てきてる。水を含んだ空気の匂いも似てきてる。ふっと、あ、パヤタスの匂い、と思ってなつかしくて振り向いたりするんだけど。南国の雨季の匂いなのだわ。

もう、何かが根本的に変わってきているんじゃないだろうか。

 

☆☆

息子が友だちから「ひぐらしのなく頃に」の本のつづきを借りてきていたので、私も読んだ。八墓村のライトヴァースですかね、猟奇ものはかんべんしてほしいんだけど、キャラクターがそれなりに個性があるので、読んでしまう。ひぐらしはどんなふうに鳴くのかと息子が言う。向かいの森で鳴いているのがそうなんじゃないのかな。
で、ユーチューブで確認。まちがいなく、ひぐらし。毎日、水の音に負けないくらい、もの凄く鳴いている。

ひぐらし、 鳴き始めた。朝、5時。