パプーシャ その詩の世界

「パプーシャ その詩の世界」
美しい本。ポーランドのジプシー女性の詩。ブロスニスワヴァ・ヴァイスという名の。



  森よ、わが父よ


森よ、わが父よ、
黒い父よ、
あなたは私を育て、
あなたは私を捨てた。
あなたの葉は震え
私も葉のように震える。
あなたが歌い、私も歌う、
あなたが笑い、私も笑う。
あなたは忘れなかったし
私もあなたを覚えている。
おお、神様、私はどこへ行けばいい?
何をすればいい、どこから
おとぎ話と歌を取ればいい?
私は森へは行かない、
川にも出会わない。
森よ、わが父よ、
黒い森よ!



映画「パプーシャの黒い瞳」の物語採録の付録もありがたい。
映画の最後で流れた詩。



いつだって飢えて
いつだって貧しくて
旅する道は 悲しみに満ちている
とがった石ころが
はだしの足を刺す
弾が飛び交い
耳元を銃声がかすめる
すべてのジプシーよ
私のもとへおいで
走っておいで
大きな焚き火が輝く森へ
すべてのものに
陽の光が降り注ぐ森へ
そして私の歌を歌おう
あらゆる場所から
ジプシーが集ってくる
私の言葉を聴き
私の言葉にこたえるために