ミダース王

連休もあと1日。

のこりの宿題のひとつが、遠足の作文で、

夕方、台所で書いていた。

何書くのってきいたら、遠足で足が疲れたことだって。

どこの道をどう通ってどこへ行ったの、って私も今ごろきいている。

で、きいてもわからないところだったりするわけだ。

途中で、どこかのお寺に寄ったことは、はじめて聞いた。

そこには、金色の仏様があったらしいのだが、

息子は言うのだった。

「仏様って、本当はキンキラキンじゃないと思うよ。だって、もしそんなキンキラキンの人が本当にあらわれたら、怖いじゃないか。

それで、ほら、西欧のお話にあるみたいに、触るもの全部が金にかわったりしたら、困るよ。むしろ、かわいそうだよ」

西欧のお話って、ギリシャ神話のミダース王のことですね。

金色の仏様って、東洋版のミダース王なのか。

ちょっと、くらくらしましたが。

「キンキラキンの仏様ってにせものだとぼくは思うよ」

「それから寺には池があって、金色の亀が棲んでいて、金色の亀を見ることができたら、しあわせになれるっていうんだけど、それも迷信だと思う。

金色の亀みたからって、しあわせとは関係ないと思うし、そもそもあんなキタナイ池に棲めないよ」

えっと、きみは、何かたいへんなことを言ってないでしょうか。

王様は裸だ、とか、仏様はにせものだ、とか。

その話おもしろいから書けば、って言ったら、

「でもそれは余談で、遠足の話だから、ちゃんと足が疲れた話を書く」って言った。 

足が疲れた話だけでは、字数が埋まらなかったらしく、弁当が、またしても爆弾おむすびだった、という話も書いていた。やっぱり不満だったらしい。