五濁悪世

五濁悪世とか、残酷な神が支配するとか、そんな言葉を思う。
中3の男子生徒が、万引きの誤記録と、学校側の誤った進路指導が原因で自殺していたというニュースは、見る度に、言いようのない気持ちになる。
誰かが万引きをしたのがきっかけで、それからいろんなことがあって、2年後に関係のない誰かが自殺した、という話だ。
それからいろんなことがあって、の部分が、その学校の教員が複数、関わってなされた、信じられないような不手際の連鎖なんだが。

取り返しつかないことだけど。教師だけを責めても、どうにもならないと思うし、その風土、その環境に関わるものとして、他人事ではないと思う。

さしあたり、中学生になる息子をもつ身としては、悪いことはするなと言わなくちゃいけない。きみが悪いことをして、きみがひどい目にあうなら仕方ないけど、きみが悪いことをしたせいで、ほかの全然関係ない人を、死ぬほどひどい目にあわせることになるかもしれないよ。

それから言わなくちゃいけない。何があっても死なない。自分がまじめにがんばっても、どんなに努力しても、理解されなかったり、誤解されたりするかもしれないし、ひどい評価を受けるかもしれないし、身に覚えのない罪を着せられることもあるかもしれないし、 望みはかなわないかもしれないし、理不尽なことはたくさんあるかもしれないし、あるんだけど、何があっても死んじゃいけない。そんな間違いなんかと引き換えに出来るほど、軽い命じゃないはずなんだ。