スペースシャトルとピンクのハート

昨日、雨のなか、ちびさん大きな建造物を抱えて、バスから降りてくる。正確には自分でもてないので、バスの添乗をしてくれている人にもってもらって、私がそれをひきとる。両手いっぱいふさがるほど。
それで傘さして歩く。かなりつらい。
これはなにかと聞いたら、
スペースシャトルだよ。あー、でもこわれちゃった。」
私はスペースシャトルの残骸を抱えて団地の坂道をのぼっているわけか。ゴミ捨て場が目にとまるが、捨てて帰りたい衝動をこらえて、歩く。牛乳パックが6つ。その他の大小の空き箱が7つか8つ、ヨーグルトやヤクルトのパックが7つか8つ、それにトイレットペーパーの芯とかいろいろとセロテープでくっついていたり、はがれかかっていたりする。この得体の知れない残骸を、今日は枕元に置いて私たちは寝るのだ。
「それからこれも」と、幼稚園バッグから、出してくる。
ピンクの折り紙でつくった大きなハート。
もえちゃんからもらったんだって。
「あいしてるあいしてるあいしてる」のたった15文字のお手紙あげただけで、チョコレートをもらい、ハートをもらい。
こないだももらっていて、これでふたつめ。

小児科に予防接種に行く。風疹麻疹の二種混合。今月末までなら無料。来月になったら8000円かかる。
以前、注射は大泣き大あばれだったから、連れていくのがおっくうで、ついに期限まじかになっちゃった。
ちびさんに説明すると、わかった、とおとなしく了解していたが、朝になって、お腹が痛い、と言い出す。「だからぼく、幼稚園もいけないけど、そのあとの病院もいけないんだ。注射もむりだよ」
おお、それは大変。でもお腹が痛いなら、すぐ病院に行って、浣腸してもらおう。
「いや、それはいや。ぼく、トイレに行ったら大丈夫なの」
じゃあ、トイレに行こう。
さて、トイレですわりながら、ちびさんがまた言う。
「今月だったら、ただなんだよね。ぼくが小学生になっちゃったら8000円かかるんだよね」
そうだよ。
「でも、ぼくが小学生になったら、たくさんお金がたまって、8000円もたまるから、小学生になってからでもいいんだよ」
そうならいいけど、そうはならないと思います。今日行くの。

病院で、ちびさん、思いの外におとなしく、注射してもらって、かえって気が抜けたのだが、医者さんが、
「小学校に行くにしては小さいですよね。ちょっと身長と体重をはかりましょう」と言う。
はかった数値を、グラフに記入しながら、「ああ、やっぱり」と言う。
身長について、97パーセントがおさまる範囲から、ちびさん、はみ出している。つまり、ずば抜けて小さい。同年齢の子が100人が並ぶと一番小さい。200人なら1番目か2番目に小さい。
そのような子どものなかには、5パーセントくらいの割合で「下垂体性小人症」の子どももいて、検査しないとわからないけれど、そのために小さいのなら、治療が可能です。生まれたときからの身長と体重のグラフを書いてみてください。

というので、帰って調べていたりした。「下垂体性小人症」。
グラフ書き込んでみると、小さいけれど、生育の仕方はライン通りなので、あんまり異常という気もしない。自閉症にともなう、自律神経の乱れとか、偏食とか、そのあたりに関連しているような気がするけど。でもまあ、検査したほうがいいなら医療費が無料のいまのうち。

この医者さん、ちびさんの「色素性蕁麻疹」も発見してくれて、別に困った症状は何もないのだが、念のため年に一度(以前は半年に一度)市民病院でエコー検診している。また春休みに行かなければ。今年異常がなければ、終わりになるはず、なんだけれど、皮膚の過敏はあるし、毎朝えらくかゆがるし、薬もらってくるのを忘れないようにしなければ。

あーなんだか、あわただしい春だ。
もえちゃんのハートでも見て、元気だそう。