新学期

新学期。
毎月1度、あいさつ運動というのがあって、当番の保護者は早朝学校に行って、門の前で登校する子どもたちに、おはようございますの声掛けをする。
それで私は今日が当番。
子どもも一緒にいつもより早く行く。
なので今日は、登校班で行かない。
「ぼくはみんなとすこし距離をおきたいだけだよ」
と、なんだか大人な口のききかたをする。でも明日からはまた登校班。
週末の風雨で桜はもう散っていて、学校の門のあたりはピンク色。
桜がふぶくと、心がさわぐ。何かどこかに忘れてきたような、思い出したいことを思い出せないでいるような、気持ちがする。
ひとひらずつ、とりかえしつかなさ。ひとひらずつ、かけがえのなさ。
でもまあ、そんなことは考えないのだ。
教頭が、ほうきとちりとりとバケツをもってやってきたので、私も掃く。
桜の花びらを掃くのは楽しい。たちまち、バケツいっぱいになる。
いつのまにか校庭には子どもがあふれ、新しいクラスの名簿が張り出されると、そのまえにごったがえしてすごい。
自分のクラスを確認した子ども、
「ひとまず、安心」と言った。「今のところはね」。

いい天気。