「高校無償化」とは、生徒たちのためのもの!

日刊イオ http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io から転載します。



「高校無償化」とは、生徒たちのためのもの!

先週のブログで、朝鮮学校に通う生徒たちへの「高校無償化」適用をめぐるタイムリミットが迫っていることを書きましたが、
ついに先週21日、東京都内の朝鮮学校の運営法人(学校法人東京朝鮮学園)が文科省に対して法的な争訟手続を行ないました。
朝鮮半島ヨンピョン島で起こった「砲撃事件」を受け、日本政府が朝鮮学校への「無償化」適用の審査手続きを停止していることについて、
「就学支援金の支給対象校に指定しないのは行政の不作為に当たる」として、行政不服審査法に基づく異議申し立てをしたのです(17日付で異議申し立て書を提出)。
「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対して期間内に応答しないことを指します。

これを受け、高木文科大臣は同日の会見で、「法令に従って対応してまいりたい(申し立て後20日以内に手続きを再開するか、審査手続きを停止している理由を書面で説明する)」と述べたうえで、
「いま、総理の指示によって審査手続きを停止している状況だが、私どもとしてはできれば年度内に何とかしたいというこれまでの考え方は念頭にある。いつ頃までにかということも含めて、こういう事実(異議申し立て)も出ているので、改めて対処の方針を考えてまいりたい」と、あくまでも文科省としては従来通りの姿勢に変わりないことを表明していました。
※会見のようすは文科省のHPで見ることができます。↓
http://www.youtube.com/mextchannel


17日に自由人権協会が発表した声明の中でも、
「朝鮮高校はすでに申請を済ませ、申請が文部科学省に到達している以上、行政手続法7条の規定にしたがって、同省は遅滞なく審査を開始し、その諾否についての処分を行なわなければならない。文部科学省が、迅速に審査を行うことが出来るにもかかわらず、これを怠っていることは行政手続法7条に違反する」と指摘されています。


しかし、一方でいまだ朝鮮学校外交問題をくっつけようとする動きは止まりません。
先週土曜の産経新聞で、「朝鮮学校補助金交付 神奈川県はまった術中」という記事が。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110122-00000120-san-soci
神奈川県が朝鮮学校への補助金交付を決めた事に対し、政府の拉致問題対策本部が県側に事情説明を求めていたそうです。

また、肝心の朝鮮学校への手続きが停止されたままなのにも関わらず、朝鮮学校への適用を判断するために作られた審査規定に沿って申請を行なった別のインターナショナルスクールの手続きが進められていることも明らかになりました。
朝日新聞朝鮮学校凍結でも… 高校無償化、他の国際学校は審査)http://www.asahi.com/special/08001/TKY201101200239.html


以前、ご指摘のコメントをいただきましたが、
「高校無償化」の対象は「学校」ではなくその学校に通う「生徒」一人ひとり。
少し話は変わるかもしれませんが、認可を受けていない外国人学校への適用をめぐっても、「無償化の対象は生徒であり、一種の奨学金のようなもの。(認可の有無よりも)高校相当の教育内容を受けているかどうかを優先的に考慮すべき」と判断基準の見直しが必要との声があがっています。
東京新聞/「高校相当」の7割、無償化対象外 ブラジル系突出)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011010702000033.html


「無償化」が学校で学ぶ生徒たちのためのものである以上、
朝鮮学校に通う生徒たちへの「無償化」適用をめぐって「拉致問題」や朝鮮半島情勢、外交問題をからませることは、
とんだ筋違いな論理だし、つくづくおかしな話です。
以前「朝鮮学校の生徒が『砲撃』したのですか?何の関係があるというのですか?」と訴える日本の方がいらっしゃいましたが、本当にそうです。
何よりも無償化制度に関して民主党政権は「朝鮮学校と外交は絡めない」との立場をとってきました。
これ以上の矛盾はないのではないでしょうか。
高校相当の教育を実施していることが認められた(都道府県から各種学校の認可を受けた)外国人学校
日本全国に41校。
そのうちの31校にはすでに「無償化」は適用されており、10校だけが除外されている状況です。
その10校とは、ほかでもない朝鮮学校です。(里)