切ったりつないだり

「縁を切りたいと思う」と息子はムーミンに言ったのだったが、月曜日、ムーミンは言ってきた。「話をするときは、縁をつないで、話が終わったらまた縁を切ることにしよう」。
それで、縁をつないだり、また切ったり、をしていた、らしい。
なんか、豆電球を電池につなぐ実験を連想した。

が、何度目かにムーミンは、つないだ縁を切るのを忘れた。せっかく縁を切ったのに、このままではもとの木阿弥である。
それはやっぱりしんどい、と息子は思った。それで昨日、ムーミンに言った。「仲直りしてもいいんだ。でも、いままでみたいにずっとつきまとうのはやめてほしい」
するとムーミンは言った。「それは無理」。
「はい、縁を切らなきゃ」と今度はムーミンが言った。


交渉決裂。このあとどうなるか知らないけど。

子ども時代に、終わりの光がふと射し込んだような、そんな感じが、ふとした。