ハイカラ野郎のペテン師の

「ママ、佐村河内という人は、子どものころから嘘つきだったんでしょうか」
と息子が言う。 こないだ、嘘つきを叱り飛ばされた息子、他人ごとではないらしい。
そう、子どものころから嘘つきだったって話もあるみたいですね。
と言うと、

「子どものころから嘘ついていたから、それで、大人になってから、ハイカラ野郎のペテン師の、いかさま野郎のねこっかぶりの、モモンガーのおかっぴきの、わんわん鳴けば犬も同然な奴、になってしまったというわけでしょうか」
と言う。

なに、そのセリフは。
だれがそれを言いましたか、ときいてみる。
「坊ちゃんです」という。
そうらしいです。

漱石の「坊ちゃん」に坊ちゃんがそういうことを言う場面があるらしい。誰のことをそう言ったのかは覚えてないが、セリフは面白いので覚えている。

息子、冬休み前に教室でオルガンを弾いたら、
「ベートーベンよりすごい奴」と、なぜかよそのクラスのIくんにしつこーく言われるようになって、辟易して先生に相談して、事実でないことを言われるのはいやだからやめてほしい、と言いに行ったのだけど、
抗議しといてよかったね。でなきゃ今ごろ、「偽ベートーベン」って言われてるかもね、って言ったら、
ぶるん、と体をふって、
真顔で、
「佐村河内よりすごいやつ、って言われたらどうしよう」
って言うので、笑ってしまった。
そりゃあすごいペテン師かも。

気をつけるべ。Iくんにも、きみのなかの佐村河内くんにも。