不思議の国

うさんくさいなあ、と思ったんだった。何か隠していそうだよね、と震災直後の原発事故の報道見ながら思った。NHKニュース見る度、すごく気持ち悪かったんだ。風評被害、という言葉が吹き荒れたときも、うさんくさかったけど、今となっては、最悪の風評は、直ちに被害はないとか、基準値以下で安全とか、言っていた政府の言動だと思う。避けられた被ばくが避けられなかったのは。

昨日のETV特集はよかった。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0515.html



うさんくさい、と思ったんだった。朝鮮学校が高校無償化を除外されたとき。ちょうど去年の今ごろ、朝鮮学校に行ってお話を聞いたのだったけど、すでに予算も決まっていたことが、中井拉致担当大臣のたったひとことで、除外、という、そんなことがあっていいもんだろうか、と校長先生は言って、まったく同感だった。それでもこの国は法治国家だから、誤りはやがて正されるだろう、と思っていた、そのときはまだ。
ところが11月に支給の手続きに入ろうかという矢先、砲撃事件があって、今度は菅首相のひとことで、見合わせ、ってことになって唖然とした。
そうしてそのまま、除外されたまま。
ひきつづいて、地方自治体の補助金が打ち切られるということがつづいて、それがもう首長の独断で決まってゆくのは、見ててほんとにおそろしい。
法がないのだわ、そこに。

うさんくさい、と思ったんだった。民主党が政権とるとき。だって公約が嘘くさくてしょうがないのに、どうしてあんなに圧勝するのか理解できなかったけど、それでも、政権交代をゆるしたのは、この国が法治国家だと人々が信じていたからだと思う。

その根本のところの信頼が、もうぐらぐらになってるんじゃないかと、私はこわい。だって法を遵守しない。法よりも、権力者の気まぐれな発言が優先する。

事故が起きたあとになって、基準値を変えるのは、ゲームをはじめたあとでルールを変えるようなもんで、そんなことをする人間は、ゲームに参加してはいけないと思う。この政府すごくうさんくさい。

原子力基本法では「民主・自主・公開」を原則にしているということを、この事故がなかったら、私も知らなかったと思うけど、東電も政府も、公開、してない。情報操作して。原発事故に守秘義務なんかない。
最初の最初から、わかっているかぎりの危険を、そのまま公開したほうが、人々はまだ対応のしようがあったよ、きっと。

非常事態宣言を出していないということからして、うさんくさいんだけど。
だからいま平時なんです。
政府が国民のために奉仕しているとはとても思えないし、文科省なんかも、どっかもう狂ってるし。

ポーランドは、チェルノブィリ事故の後、子どもたちにヨードを与えて、汚染地域でないところから食料を大量に輸入して、子どもたちを守った。ポーランドでは甲状腺癌は増えていない。
で、いまこの国が、汚染地域の食材を給食に使っているというのは、何の悪夢だろう、と思うんだけど。でもこんなこと書くと、風評被害に加担するとかになるわけ?
知事が牛乳飲んでみせるのも滑稽だし、子どもたちが笑顔で給食食べてるのは痛ましく見えるのは、私の目がおかしいか。

不思議の国にいるんだわ、わたしたちきっと。餓死させられた4万羽の鶏と一緒に。