息子の「友だち」つづき

運動会の翌日、遊びに来ていた息子の友だちは、隣の隣の「絶賛学級崩壊中」のクラスらしい。頭のなかに化学記号をたくさん仕入れている化学少年の、化学記号の仕入先はゲームらしかった。なるほど。なんで学級崩壊してるのかときくと、崩壊因子として、男子数人の名前をあげた。知っている名前もあるし知らない名前もあった。

さて、隣のクラスの黒ぶちっちが最近にわかに息子に接触してきて、朝教室の前までやってきて、「出て来いよ、遊ぼうよ」と呼び出したりするのだそうだ。しかも、黒ぶちっちは、隣の隣のクラスの学級崩壊因子の男子たちを引き連れていたりするから、息子はもういやな予感ばかりがするらしい。逃げ回っている。
ふと考えた。もし黒ぶちっちの包囲網が、いやがらせではなく、親しみからだとしたら、これは安全保障になる。暴れたがりの男子たちまとめて、おとなしくさせてくれているんだから。
いやだいやだと逃げ回ってないで、どういうつもりなのか、きちんと確かめたら? と言った。
さてそれで、息子が先生に相談しようと、連絡帳に書いた翌日、なんと黒ぶちっちが「こわがらせるつもりじゃなかったんだ、ごめん」と謝ってきたのでびっくりした。たぶん、先生が何か話したんだろう、と言う。

それはよかったね、黒ぶちっちはえらいね、自分から謝るなんて。私は言ったが、息子は「でも信用できるとは限らないし」などと言う。
息子、しばらくいらいらしている。なにをそんなに怒っているのかときくと、私が黒ぶちっちをほめたのが、気にいらないらしいのだった。「ぼくのことはほめてくれないのに」だって。

息子、それから連絡帳に、黒ぶちっちが謝ってきた一件を書き、「自分から謝るなんて、ぼくは到底できない、見習いたいと思う」と書いていた。なので思いっきりほめてやったら、「にゃーっ」と鳴いた。