鹿

雨しとしと。
ふと2階の窓を開けたら、向かいの森の桜がひとつふたつほころびはじめている。ウグイスが鳴いている。ふと見ると、鹿がいる。
イノシシとたぬきはわりと見かけるけど、鹿は鳴き声は聞くけど、姿を見るのははじめて。
急いでちびさんを呼ぶが、呼んでいる間に、鹿さんいなくなっていた。

「ぼくとしかは、ゆるしあうんだよ」とちびさんが言う。なんか意味不明だけど、いい言葉のような気がする。

鹿、雨の森にひっそりと立っていた。
えらく美しい景色だったよ。