靴下のアップリケ

息子の学校は、靴下も学校指定である。イニシャルの刺繍が2箇所、一足なら4箇所に入っている。近所のデパートで安売りしてないし、だいたい、どこで買えるかも、知らないのだった。学校に購買部はないし、事務室に問い合わせるべきかなと思いつつ、問い合わせていない。
そんなわけで、入学のときに買った4足をずっと履き続けているのだが、さすがにぼろぼろになってきた。それを繕いながら、履いている。
靴下、安くない。たぶん、あと数か月もすれば、サイズが合わなくなってくるから、それから買い替えてもいいよね、2月になったら新入生への販売が学校であるから、そのときに買い直せばちょうどいいと思うよ、
ということで、それまでは、いまの靴下でもたせようということになったのだが。

どの靴下も、指の穴は何度も繕った。かかとの穴も繕った。でも1足だけ、指の穴、かかとの穴に加えて、足裏が見事にすりきれて大穴あいてしまって、これはもう限界、というのがあって。
どうしたもんかなあと思ってながめていて、ふと、同じ色の無地の靴下があることに思い至った。

それでっと、指定靴下のイニシャルの刺繍のところを切り取って、無地のほうの靴下に縫いつけた。左右の外側内側、4箇所。

アップリケしている間、脳内で流れていたBGMは、「チューリップのアップリケ」。

「それ、縫い付けたところが盛り上がってて違和感あるよ」
と息子は言うが、
アップリケはそんなもんよ。

女子はスカートだから靴下見えるけど、男子は長ズボンだからわかんないと思う。
足裏に大きな穴のある靴下よりましだし、もしなんか言われたら、母の仕業だ、と言えばいいよ。母がチューリップのアップリケ歌いながら縫ってましたって。
大丈夫。叱られたりしないから。

ところで、息子はチューリップのアップリケなんて知らないのだった。聞かせなければ。

靴下の穴は私が縫うが、名札の傷は、息子は自分で直してしまった。
数日間、名札がなくなったといって、探し回っていたのだ。学校も家のなかも。出て来なかったら買わないといけないけど、それもどこで買えばいいのか知らないなあ、と言いながら。息子が探したときには出てこないのに、パパがふと、補助カバンを引っくり返したら、なくなったはずの名札が出てきた不思議。

そのプラスチック製の名札が傷だらけで、なんか悲しくなるほど傷だらけだったんだけど、息子、「これなら、直せるかも」と言って、
鉄道模型の補修に使うやつを使って、あっという間に、新品みたいにきれいにしていた。

とても見事で、みとれてしまった。