星ヶ丘ゆき

kazumiの日常雑記

どろんこのうた

「洪水」(詩と音楽の雑誌)の最新号の特集が作曲家の池辺晋一郎さんで、面白く読んでいたのだけど、児童合唱曲の話で、愛媛の野村学園の話が出てきて、びっくりした。知的障害者、障害児の入所、支援施設で、そこの子どもたちの書いた詩のことを語っている。

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その詩集、私もってる。「どろんこのうた」という本。1981年頃の出版だったと思う。子どもたちが粘土板に刻んだ詩が、本になって出版されたのだった。
本棚の埃のなかから探し出した。英語対訳のが出てきたけど、日本語だけのも持っていた。どこに行ったかな。ああ、なつかしい。愛媛の南予弁で、故郷のことば。

「山は 愛です/うぐいすが/恋人をさがして/仲よく とんでいくけん/愛です」
「ながい木/空まで とどく/愛の木」

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「ひでみとぼくは おもいで」


読んでいると、暮らしのひとつひとつの景色が、そのまま奇跡のように思えてくるような、子どもたちの言葉だ。
池辺晋一郎作曲:こどものための合唱組曲「どろんこのうた」 というのがあるらしい。聴いてみたいな。

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野村学園に、私は行ったことがないんだけど、弟は行ったことがある。弟は小学2年まで、言語学級のある別の小学校に通って、3年で本来の学校に戻ってきたんだけど、通常学級で面倒を見れない、と担任が来て、母に話していた光景を覚えている。翌年から特殊学級(と、当時は言っていた。いまの支援級だね)に移ることになり、それで母は、親しい人に車を出してもらって、弟を連れて、野村学園に見学に行ったのだった。
今みたいに、発達障害の概念もなかったから、特殊学級に移ることになったとき、きっと母はすごく悩んで、知的障害児の現実を知ろうとして、訪ねて行ったんだと思う。
弟は中学からは通常学級に戻ったんだっけか。どちらにいても、しっくりこない境目の子どもではあった。

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「どろんこのうた」という本が出たのは、私が郷里を離れた年、母が死んだ年、弟が家出した年で、読んだとき、背後にしてきた光景のあれこれが、子どもたちの南予のことばのさざめきと一緒に胸にせまってくるようだったのを、いま、何十年ぶりに読み返して、ありありと思い出す。ほんとになつかしい。