「曠野」 李陸史 はるかな日に 天が初めてひらかれ どこかで鶏の声が聴こえたろう すべて山なみが 海を恋いしたって馳けるときも この地ばかりは侵し得なかったろう 絶えることないとしつきを こまやかな季節が咲いてはうつろい 大河の流れが初めて道をひら…
「路程記」 李陸史(イユクサ) いのちとはあたかも難破した船の破片(かけら) あちこちに散らばって 村はせまく汚れた漁村よりも始末がわるく いのちのはしくればかりがずっと古びた帆布のように吊るされていた。 ほかの人たちはよろこばしい若い日だったの…
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