柿の木に柿の実がなる


 近くの運動公園の立木があざやかに紅葉しているのが、道路からも見えて、紅葉に誘われて遊びに行った。カエデだろう。カナダの国旗にあるような赤い葉っぱが、頭上にひろがると、それだけでどきどきしてくる。カサカサと枯葉を踏んで歩くのが楽しい。小さな子の遊具は、ブランコとすべりだいしかないが、子どもはだだっぴろい芝生の上を走り回って、疲れたのだろう、そのうちしどろもどろの足どりになり、やがて歩くのをいやがって抱っこをせがんだ。

 柿の木に柿の実がたわわになっている。家々の庭にも畑にも山のあちこちにも。去年はこんなに柿をみなかった。台風がたくさん来たせいで、柿もどんぐりもなんにもなくなってしまったのだ。餓えた山のいきものたちが、餌を求めて里に降りていた。熊出没注意の回覧版が町内をまわり、出かける度、車に轢かれた狸の死骸をみかけた。今年はまだ熊出没の話も聞かないし、狸もみない。

 イノシシは出た。一週間ほど前、夜に外に出たら、向かいの森の暗がり、竹やぶのあたりで、いきなりガサガサと音がするので、びっくりして立ちすくんでしまった。フウッ、という鼻息まで聞こえた。柵を越えてこないとは思うが、それでも、すこしは怖い。

 庭のカマキリも色を変えはじめ、枯れ枝が落ちているのかと思ったら、枯れ色になったカマキリがころんと死んでいた。