落葉


 秋の日の
 ヰ゛オロンの
 ためいきの
 身にしみて
 ひたぶるに
 うら悲し。

 鐘のおとに
 胸ふたぎ
 色かへて
 涙ぐむ
 過ぎし日の
 おもひでや。
    ポオル・ヱ゛ルレエヌ「落葉」上田敏

 12歳のとき兄からもらった日本の詩歌全集(かなり欠本あり)の28巻は訳詩集だった。旧仮名遣いや難しい漢字にとまどいながらも、はじめて読む外国の詩にどきどきした。

 シモーン、お前は好きか、落葉ふむ足音を?

 ルミ・ド・グールモン「落葉」堀口大学訳の、シモーン、と呼びかけるリフレインの美しい詩を読んだとき、私は、シモーンという名前になりたかった。

 今日で11月も終わり。

   ひとひらの落葉に滲む赤と黄の比率美しく冬へと向かう (野樹かずみ)