まーめー


 もちろんそれは、時間の問題ではあったのだが、子どもは「だめ」という言葉を言うようになった。この親とつきあうのに、「いーよー」だけではやっていけなくなったのである。一番最初は、呑みたくない薬を、むりやり口の中に入れられて、ぐしゃぐしゃの泣き顔の、わりとぎりぎりのところから、しぼりだすように叫んだ「だーめー」であった。
 「ばーめー」と発音するので、その度に「だーめー」と言い直してやる。焦ると、「ママ、だめ」が「まーめー」になる。泣いたり怒ったりしながら言うのだが、最近、泣きっぷりも怒りっぷりも迫力が出てきた。思わず見とれてしまうほど。毎日、喜怒哀楽を炸裂させながら、家のなかを走り回っている。

   また雪が降るというので、雪かきスコップを探しに行ったが、ない。入荷も少ないし、すぐに売れてしまうのだそうだ。ふつうの鉄製のスコップを買ってくる。外はうっすら白い。また積もるのだろうか。