午前６時。回転しながら眠る子どもに、ふとんから蹴りだされてしまった。目が醒めてしまったので、起きる。
２か月ほど前に、「あいうえおボード」をもらってから、あきれるほどしつこくそれで遊んでいた子どもは、いつのまにか、いくつかのひらがなを読めるようになっている。テレビの字幕スーパーに「やや」と出たのを、「やや」と読むので、驚いたことだった。
「あいうー、かきくー、なにぬー」とか、「いち、に、さん、し、ご、はち、じゅう」「ワンチューシュリーフォーファイ、ナイ、テン」とか、ひとりでぶつぶつ言いながら、日がな、おもちゃの車を走らせている。
たんすの下とか、テレビの下とかに、地下駐車場よろしく、車をすべりこませては遊んでいる。そうして、とれなくなる。こういうときに言葉は出てこない。「うーうーうー」と親のところにきてうなるだけ。
寝言で「ジョジョ、ジョジョ」と言っているが、このジョジョは、なんのジョジョだか。２歳２か月。たんすの下の地下駐車場には埃しかないが、子どもの言葉の裏に何があるかは、ふかい謎。
