ビンボン


 ときどき育児サイトをのぞいたりすると、2歳児というのはけっこう達者に喋ったりするんだと、驚く。私の子どもも喋らないわけではない。おなかがすいたら「くう (食う)」と言うし、階段をのぼるときは「アップ、アップ」となぜか英語で掛け声をかけている。うちの時計に鳩はついていないので、ときどき自分で「ペポペポ」鳴いている。が、そのほかは、数字といくつかの単語のほかは、ほとんどすべてのことを名詞ならば「ジョジョ」、動詞ならば「うーうーうー」ですませている。いまのところ平和である。
 この平和がいつまでつづくことか。
 子どもは新しい言葉をおぼえていくが、おぼえてほしい言葉だけをおぼえてくれるわけではない。先日は、お婆ちゃんに食べさせてもらって以来お気に入りの「ちゅぶちゅぶ」(イクラの醤油づけのせごはん)を食べると言い張ってきかず、「うちは貧乏だからそんなものありません」とパパが言うと、「ビンボン、ビンボン」と嬉しそうに言ったことだった。
 お婆ちゃんの前では言わないでくださいね。せつながって泣くよ。