チャーリー


 スーパーに買い物に行ったら、片隅で自由価格本を売っていた。半分は趣味の本で、半分が児童書。新しい本が半額ほどで買える。子どもはさっそく、なじみのキャラクターを見つけた。くまのプーさんのアルファベットの絵本と、チャーリーとローラの絵本。
 どちらも、ケーブルテレビで配信されているディズニーチャンネルの、お気に入りの番組に出てくるキャラクターだ。チャーリーとローラは、やさしいお兄ちゃんとおしゃまな妹の楽しいお話。子どもはしきりに絵本をめくりたがる。

 とりあえず買い物をすませてから、と思ってレジへ行こうとすると、子どもが「チャーリー、チャーリー」と大きな声で泣きだした。一緒にいたパパが、しゃがんで「うちは貧乏だから買えません」と言うと、一瞬泣きやんだが (ビンボー、という音に反応するのだ)、すこしするとまた「チャーリー、チャーリー、プーしゃん、チャーリー」と泣く。まるでもう、友だちか恋人と引き離されたみたいに。
 結局、買い物をすませたあと、パパが自分のビールと一緒にチャーリーもプーさんも買っていて、さっきの説得は何だったのか。でも「買ったよ」と言っても子どもは信じない。レジでお金を払って、袋から出してもらって自分で本を抱えるまで、ずっと「チャーリー、チャーリー」ときどき「プーしゃん」と、大声で泣きつづけだった。店じゅうの人が振り向いていましたね。

 さて、その本なのだが、チャーリーとローラのお話のタイトルは、『ぜったい がっこうには いかないからね』というのだ。堂々の不登校宣言……。20年前ならいざ知らず、いまの時代、ちょっとつらいタイトルだ。新しい本なのに半額で売られているのは、このタイトルのせいかな。
 楽しいお話ではあるのだが。