記念切手


 探し物をしていたらそれとは別に、古い記念切手を入れた封筒が出てきた。30年以上も前のもので、7円切手、15円切手、50円切手などである。50円切手は相当に大きくて立派な山水画だ。昔、年の離れた兄が持っていたものを、譲り受けたのである。もらったときには、どの切手もシートであったのだが、高校生や大学生だった頃に、人との文通でかなり使ってしまって、シートで残っているものはない。

 切手を見て夫がなぜか興奮し、しきりにくやしがる。彼は小学生のときに切手を収集していたが、お小遣いがないから、記念切手をシートで買うなんてとてもできず、一枚だけようやく買ったりしていたのを、私はシートでもっていて、しかもそれをだいなしにしている、というのだ。
 いや、それは私もお金がなくて、友だちと文通したり、当時は海外文通もしていて、切手は必要で、買うとお金がかかるから、手もとにあるものを使っていたのだ。もらう人も記念切手のほうが楽しいかと思って。というのが私のいいぶん。

 ともあれそんなことで、その古い記念切手の残りは、何年ぶりか、もしかしたら10年ぶり以上くらいに錆びついたカンカンから出されて、夫が小学生の頃からもっている古い切手ノートにおさめられました。めでたしめでたし。