オオバコ


 東京のほうでも桜が開花したらしい。東京よりずっと西にいるから、東京より先に春が来るはずだと思い込んでいたが、そうでもないみたいだ。ここの庭は梅がようやく咲きはじめたところ。
 庭のあちこち、オオバコが小さな緑の葉をひろげている。「踏まるべき生きも予知して」というフレーズを思い出す。オオバコの歌だとなぜか思い込んでいたのだが、いま本をみてみたら、冬草だった。

 踏まるべき生きも予知して冬草が平たく朱く拡げゆく掌を (安永蕗子)

 生きることの覚悟は、そんなふうなことだと思う。