意思表示


 1日じゅう雨。
 雨のなか、子どもが外に出ようとするのを連れ戻したら、怒ったらしい、部屋の戸をピシャンと閉めて、あっちへ行ってしまった。意思表示の鮮明に、見とれた。
 「ごはん」と呼んだら、あっけなく戻ってきたが。

 給湯器の調子がおかしいので、取り替えることになり、朝から工事。午後までかかった。新しくなると、その性能の進化していることにびっくりする。お風呂のお湯が溜まると、パッヘルベルのカノンが流れてくる。

 夜、ふとんにはいっても「ぺっこぺこ、ぺっこぺこ」と言っているのは、ひもじいからでなく、絵本の『はらぺこあおむし』を思い出しているのらしい。電気を消した暗がりのなかで「おや、はっぱ」と出だしを言うから、あとをつづけてやると(毎日読まされたので覚えてしまった)、絵を見ないでも思い出せるらしく、ところどころ唱和する。暗いので、食べ物を思い出しても、台所に行こうともせずおとなしくしている。
 (食べ物の出てくる絵本は、子どもが食べたがるのが困る。りんご、いちご、ケーキ、とその度に台所に走って行かれても、毎日りんごやいちごやケーキがあるはずがない。)
 で、最後の場面「きれいなちょうちょになりました」までいくと、子どもはまた「おや、はっぱ」と出だしを言う。3回繰り返して、1日の終わり。