春の朝


 春の朝    (ロバアト・ブラウニング) 

時は春、
日は朝(あした)
朝(あした)は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀(あげひばり)なのりいで、
蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。

 『海潮音』(上田敏)におさめられたあまりにも有名な詩。もとは劇詩のなかで、ピッパという少女が歌った歌として書かれたものらしい。少女が歌った歌らしく訳すと、どうなるかしら、と考えてみたけれど…。頭に刷り込まれている上田敏の名訳から自由になれそうにない。「神、そらに知ろしめす。すべて世はこともなし」。原詩「ピッパの歌」のせておきます。
 今日から四月。庭の白い梅が毎日ぽこぽこ開いて、ポップコーンがはじけるみたいと思う。おっきな蜂が花のなかにもぐっていた。

  Pippa's Song

The year's at the spring,
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearled;
The lark's on the wing;
The snail's on the thorn;
God's in his Heaven -
All's right with the world!

-- Robert Browning