エルミタージュ美術館展


 県立美術館に、エルミタージュ美術館展を観に行く。17世紀フランドル絵画と工芸品など。フランドル絵画は、あれこれと描きこまれた細部が楽しい。不思議な親しみを感じさせてくれる。何かしら純朴なものを。常設展も久しぶりに観た。スザニという中央アジアの刺繍布の展示も素敵だった。
 でも絵を観ている時間よりも、走り回る子どもを追いかけている時間のほうが長かった気がする。あんまり子どもが走るので、館員さんに注意されてしまったが、12㎏をずっと抱っこして歩けない。かといってベビーカーに乗せると、大泣き。走るだけ走ったあとでは、疲れたらしく、自分からベビーカーに乗ったのだったが。
 子どもが一番喜んだのは出入り口の傘置き場。コイン返却式の傘立てに数字がずらりと並んでいるのが嬉しいのだ。私は取り忘れのコイン1枚100円を拾った。
 絵を観ているのが、それだけでなんだかすごく楽しかった。子連れの面倒くささも気にならないくらいに。

 昔バイトしていたお店に、行く。1月に亡くなったお婆ちゃんにお花とお線香をあげさせてもらうと、不思議と気持ちが落ち着いた。心のどこかで気にかかっていたのだろう。
 お店でお好み焼きを食べるが、代金はとってもらえない。その上に、帰って何もしなくていいようにと、焼きうどんまでつくって持たせてくれる。「いいんだ、いいんだ、孫みたいなもんだから」と子どもを見て言う。子どもは子どもで、ジュースとどら焼きもらっているし。
 クレソンが欲しい、とマスターが言う。この前もっていったのが、お客さんにも好評だったらしいのだ。クレソンなんかでよければ喜んで。近くの川にたくさん生えている。また摘みに行こう。

 このあたりは、まだ桜咲かないが、街は3分咲きくらい。美術館の窓から見える桜がとてもきれいだった。この春はじめての桜を見た。
 ちびさん、さすがに疲れたんだろう。帰ってお風呂に入ると、「ねます」と自分から布団のなか。