お絵かき


 そんなに遠くないところで、週に1度、就学前の子どものためのサークルを集会所で開いているというので、子どもを連れて行ってくる。1時間半ほど遊んできた。
 子どもは、ほかの子が遊んでいるおもちゃばかりを掴もうとする。きっと、おもちゃしか目に入っていないのだ。走っている車や飛んでいるアンパンマンしか。いきなりおもちゃを取りあげられた女の子が、それでも「どうぞ」とゆずってくれたりして、なのに、こんなかわいい子にやさしくしてもらっていながら、振り向きもしない……。

 リサイクルショップで簡単な水彩絵の具のセットを80円で買った。大きな画用紙もたくさんもらったのがあるので、子どものお絵かきに出してやる。
 紙に描くより、たんすや畳やカーペットや襖や服や、自分の体に描きたがるから、お絵かきのときは目が離せないのだが、なんとかできあがった。はじめての水彩画。あれこれの色が飛びちっているだけだが、「ブッブー(車)」「ロケット」「リンゴ」「サクラ」「ハッパ(葉)」「アオムシ」「ウミ(海)」「シッシッポ(汽車)」「ピカピカ(太陽)」だそうだ。
 できあがった絵で、破れた襖の穴をふさいだ。