「あいうえお」と「ABC」


 1日じゅう雨。午後、義母とデパートで待ち合わせ。食事のあと、幼児用のパズルなど安売りしていたので見ていると、子どもがプーさんのアルファベットのパズルを欲しがり、おばあちゃんが買ってくれた。
 そろそろ2歳半になるのだが、この半年ほどの成長ぶりは、なんだかすごくて、親はあっけにとられるばかりだ。言葉はずいぶん増えたし、指しゃぶりもおさまった。何より、ひらがなと数字を読めるようになったのは驚いたけれど、今はアルファベットにはまっていて、大文字は読めるようになり、AからZまで暗唱する。家に帰ってからさっそくABCパズルで遊んでいた。

 最近子どもは、朝起きて第一声がABC…で、それから「あいうえお」とか「はまやだな(はまやらわ、のつもりらしい)」とか。ひとりで遊びながらぶつぶつ言っているのもABC…と、123(いちにさん、ワンツースリー)と、あいうえお。
 それぞれの音には表情があるらしく、「なにぬねの」を言うときは、なぜか必ず蛸の口。

 夜は夜で、以前は指しゃぶりしながら寝たのが、今は喋りながら寝る。ABC…Zを、今晩は7回繰り返した。そのあと、あいうえお、から、わをん、までたどって、それから数字を数えはじめ、(18の次は80だったりするのだが)、それから英語でワンツースリーとはじまって、これもいいかげんながら30いくつまで言えるようになっていて、まるで呪文のように、羊を数えるように、ぶつぶつぶつぶつ数えながら、寝入った。

 こんなによく喋るのに、人とのやりとりはいたって寡黙。おじいちゃんおばあちゃんにも、ほとんどなんにも言わない。半日一緒にいて、おばあちゃんが繰り返し聞いたのは「ママ、だっこ」と「ABC…」。夕方、用事を終えてやってきたおじいちゃんが聞いたのは「シッシッポ」と「あおむし」。ふたりが帰るときもバイバイも言わない。夜になってから、「じいしゃん、ばあしゃん」とか言っている。ふたりがいるときに言ってあげなさいって。