君の名前を


 2階の窓から見える向かいの森やその向こうの山の新緑が、息を呑むほどきれい。陽にきらきらして、風にゆれるのを、しばらく子どもと一緒に眺めていた。
 つるばらの新芽を摘んで塩漬けにしてみたが、これはたいへんおいしい。虫が食べるはずである。もしかしたら、西洋で薔薇が好まれたのは、食用として、なのではないだろうか、と思うほど。子どもも「はっぱ、たべる」と言って食べる。庭では、虫と私が取り合い、食卓では、私と子どもが取り合って食べている。花、咲いてくれるかな。

 今日こどもの日。義父からお祝いの書留が届いていて、たいへん嬉しい。謝々。

  偶作  

君の名前を彫り給え
やがて天までとどくほど
大きく育つ木の幹に。
大理石と較べたら立木の方が得なんだ
彫りつけられた君の名も一緒に大きくなって行く。
      (『コクトー詩集』 堀口大學訳)