八月がくるたびに


 梅雨があけたら、いきなりカンカン照りの日がつづく。今日から8月。

 8月がくる度に思い出すのは、『八月がくるたびに』(おおえひで)という児童文学書のタイトル。小学校3年のころ、学級文庫にあって、そのタイトルが気になって、何度も読んだ。長崎の原爆の話だが、たぶん、原爆についてはまだ何もわかっていなくて、戦争のときの話のひとつ、ぐらいの理解だったと思う。最近、新装版が出版されたそうだ。

 昼寝が夕方にずれこむせいで、夜中まで眠らない子どもは、闇のなかであれこれとしゃべりつづけ、たぶん、テレビの番組のセリフだったりするのだが、いつのまにそんな言葉を覚えたのか、「おねがい、たすけてください」と泣きそうな声で言ったりする。この数日お気に入りのセリフ。

 よりによってなんでそんなセリフを、と思うけれど、イスラエルの爆撃で殺されたレバノンの子どもたちや、子どもの虐待死のニュースなど見ていると、「おねがい、たすけてください」のほかに、言葉がないような地上の光景だ。いつまで続く殺戮だろう。

 しゃべりつづけていた子どもがふとしずかになり、そろそろ寝るかなと思っていると、いきなり、「いいこと、かんがえた」と叫ぶ。深夜0時。かんがえなくていいから、寝てください。