宮島

 昨日、車を車検に出している間、宮島まで遊びに行こうということになり、カンカン照りのなかを、まずバスに乗る。「ねこバス、ねこバス」とまずはごきげん。それから電車に乗って船に乗って宮島へ。島に着くと、さっそく鹿が迎えてくれる。子どもが「シカさん、こんにちは」と腰を折って挨拶しているのが、たいへんかわいい。さて、鹿はたくさんいる。子どもはなんとその一頭ずつに「シカさん、こんにちは」をはじめた。挨拶してもこっちをむいてくれなかったりすると、わざわざしゃがんで、顔をのぞきこんで「シカさん、こんにちは」をしている。

 鹿に夢中の子どものところに、赤い服を着た小学校高学年か中学生ぐらいの女の子がやってきて、子どもに自分のもっていたうちわを握らせると、まだこちらがありがとうも言わないうちに、行ってしまった。見ると、同じ赤い服をきた子どもたちがたくさんいて、うちわをくれたのがどの子なのかわからない。うちわには、韓国の旗と日本の旗、それぞれの言葉で、「韓国、日本の青少年友情の文」なるものが書かれていて、正しい歴史観に基づいて、過去や現実にとらわれず、新しい未来を一緒につくっていこう、という内容。最後に「韓国青少年連合」とある。では、赤い服の子どもたちは韓国から来ているのだ。ちびさん、こんにちはのあいさつもしなかったが、うちわだけは、帰るまでしっかり握りしめていた。                                                                                                                 

 アイスクリームとかき氷を食べて、また船に乗って、電車に乗ってバスに乗って、車検を終えた車に乗って、帰った。「たのしかったねえ」と子どもが言うので、いいのだが、くったびれた。家に着く頃、空にはまんまるのお月様。「おつきさま、こんばんは」とちびさん。